Column




























Vol.1 名刺の効用

先日、多くの中小企業の経営者が集まる異業種交流会に参加した。たくさんの方々と名刺を交換させていただき、事務所に戻ってから整理するのが一苦労だった。交換していただいた方には申し訳ないのだが、名刺を見ただけでは、半分以上どこのどなたかさっぱり思い出せない。

セレモニー的に行われる名刺交換会で、自分を印象付け覚えてもらうのはそう簡単なことではない。ただ単純に名刺を交換したのでは問題外だし、多少会話をしたとしても、次の日になってしまえば顔と名前は一致しないだろう。

恐らくこのようなことは、名刺交換をしているどの人も分かっていることだ。ではなぜ、そうと知りながら交換するのか。それは、どういう状況であれ「名刺がきっかけで仕事が取れるかもしれない」という意識が働くからであろう。


しかし、それにしてはお粗末な名刺が多いように思う。

何がお粗末かというと、特に裏面だ。今回の例でいうと、裏面が真っ白で何も印刷されていない名刺が半分以上あった。印刷されているものでも、表面の英語版だったり、支店の住所などが書かれた無機質のものが多い。

上記にあげたものを除くと、残りはその3割弱。そこには何が書かれていたのかというと、事業内容だ。無機質といってしまえばこれも含まれるかもしれないが、少なくともどのようなことをしている会社なのかは具体的に分かるようにすべきだ。特に今回のような異業種交流会ではなおさらだろう。

興味を引いたのは、経営理念が書かれていたり、経営者のプロフィールが掲載されていたものだ。その企業の目指している方向や、経営者の「人となり」が伝わる名刺は好印象だった。

良い名刺というのは、その企業のビジョンや、経営者の「人となり」が表れているものではないかと私は考えている。そういった名刺は、見ていて親近感がわいてくる。この親近感が重要なのだ。それが元で、微細であっても信用や信頼を与えることが可能になり、強いては受注につながることだってあるだろう。

少し息を吹き込むことで、有能な営業マンになる名刺を有効活用しない手はない。ここであなた自身の名刺をもう一度ご覧いただきたい。人に語りかける名刺になっているだろうか。